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奇跡 ザンクトガレ ンから

UNITED GRINDING Groupは、IMPACT 4530によって、よりによって小さなザン クトガレンで世界初の「スイス製の」産業用積層造形機を開発したのです。どう してこれが成功したのでしょうか?

 

IRPDがIMPACT 4530を開発したイノベーシ ョンハブからわずか数キロのところに、後期バ ロック様式のローマカトリック教会とザンクト ガレン大聖堂があります。

IMPACT 4530は、ザンクトガレンのIRPD開発セン タで特別に用意された部屋で、ピカピカに磨き 上げられた状態で販売されています。世界初 の産業用積層造形工作機械として、既に伝説 的な評価を得ています。ここでワークが研削さ れることは無く、製造という言葉はむしろ正反 対のことを意味しています。「機械加工によって 固体ブロックから材料を取り出す古典的な製 造技術とは対照的に、ここでは付加的に部品ご と、層ごとにレーザビーム溶融(LPBFプロセス) によって金属粉末から部品を構築します」 と、2021年5月からIRPDを統率しているUNITED GRINDING GroupのMarketing & Business DevelopmentのグローバルヘッドのPaul Kössl 氏は説明します。 IMPACT 4530の「顔」は、親しみやすく直感 的なデザインで、ほぼ人間サイズの54インチタ ッチスクリーンディスプレイです。

このヒューマ ンマシンインターフェイスは、構築空間に設置 したカメラからマイクロ溶接プロセスのライブ 映像を送信し、操作要素やプロセス過程の情報 を組み合わせて表示します。 UNITED GRINDING Digital Solutions™を通じて、データはオ ペレーティングシステムC.O.R.E.に統合されま す。「高度に自動化されたシステムネットワーク の中でも、IMPACT 4530を使いやすい形で統 合し、他の工作機械との効率的なネットワーク 化を可能にすることは、私たちにとって重要な 目標でした」と、Kössl氏は言います。

 

レーザのダンス

IMPACT 4530は、2つの異なる分離されたマ シンユニットで構成されています。 耐熱、真空 対応の鋳造機スタンドの上に構築されたマシ ンコア、構築空間、溶接構造の供給ユニット が、分離された操作エリアと搬入エリアのコン セプトを実現します。また、気密性の金属粉末 容器と部品のために一体化された自動交換シ ステムによって、金属粉に触れること無く機械 を操作することが可能です。

IMPACT 4530が作業を実施すると、金属粉 末の層に円、線、角、端部を残すレーザのダンス が、4つの黄色い炎のように画面に映し出され ます。このプロセスは、LPBFプロセス(Laser Power Bed Fusion)における金属粉末の選択 的レーザ溶融と呼ばれています。機械は、それ ぞれ1,000ワットの出力を持つ、2つまたは4つ の産業用ファイバレーザを制御します。

 

« 3Dプリントプロセスでは、従来の機械加工では不可能 な部品を作ることができます »
Alex Frauchiger、プロセスおよび材料開発の責任者

アイデアはすぐに現実となる

最後には、プレートの上に何層にもわたって溶 接された状態の金属の部品が立ちます。 金属 粉末は、鉄鋼、アルミニウム、チタン、ニッケルベ ースの合金、特殊金属など、さまざまな品質で 提供されており、適切な選択と混合が製品の品 質を決定付けます。 3Dプリントの最大のメリ ットは、新しいクリエイティブなアイデアを素早 く低コストで実現できることだとIRPDのAdditive Services & Customer Careの責任者 Michael Schneider氏は言います。 「これは 必然的に、より良い部品、ひいてはより良い製 品につながります」 Schneider氏は、Pascal Brunner氏、Kai Gutknecht氏、Alex Frauchiger氏とともに、2016年からIMPACT 4530の 開発で重要な役割を担ってきた専門家の一人 です。 何故なら、無から有を生み出すのに必 要なのは、部品のCAD3Dデータだけで、そこか らプリンターが層情報を抽出するからです、と Schneider氏は語ります。

このように、レーザ 偏向のための予定表がミラーシステムによって 作成され、各層を点状に溶融することで、部品 を製造します。 「3Dプリントプロセスは、従来の機械加工 では不可能な部品を作ることができます」と、プロセスと材料の開発を担当するAlex Frauchiger氏は言います。そして、それによって積層 造形の利用におけるおそらく最も重要な原則 を表現しているのです。古典的なプロセスを再 現するのではなく、部品そのものを見直すこと で、積層造形の付加価値を実現することが重要 です。「積層造形は、常にどこが実際に付加価 値を生むのかを分析することから始まります」 と、彼は説明します。それは、生産の高速化で あったり、新機能であったり、機能の要約であっ たりします。

サプライチェーン問題に対する3Dプ リント

速度は重要な点ですと、製品開発とIMPACT の機械装置を担当するPascal Brunner氏も同 意する。「また、作業ごとにツールを交換した り、新しいブランクをクランプしたり、機械を調 整する必要はありません」と、彼は言います。必 要なのは、関連するすべてのプロセスデータを 含むCAD 3Dソフトウェアファイルだけです。セ ットアップの手間を省くことで、IMPACTは数分 で立ち上げることができ、最大限の柔軟性を発 揮します。その長所により、単独生産から連続 生産まで、幅広い複雑な部品の迅速な生産に 適しており、これはスペアパーツだけでなく、標 準生産、新規開発にも適用されます。

ツールや部品の機能は、その表面で決ま ることが多いため、カスタマイズされた部品の トポロジーによって、機械工学のさまざまな分 野の多様なプロセスや活動を最適化できます」 と、材料の専門家であるFrauchiger氏は説明 します。そのため、積層造形は、腐食や摩耗の 防止、摺動や潤滑挙動などの特性に狙いを合 わせて操作し、顧客の要求に適合させることが できます。潜在的な顧客は、IMPACTの能力と 同様に多様であり、伝統的なジョブショップ、自 動車部品メーカ、航空宇宙産業などです。

革新的な雰囲気

よりによって小さなザンクトガレンのこのチー ムからこれ程のイノベーションが生まれた理由 とは? まず、IRPDは普通の機械製造会社では ありません。レルヒェンフェルト通りにあるガラ スと鋼鉄を多用したモジュール式の建物は既 に珍しく、地域を超えて「スタート地点」と呼ば れるイノベーション・メディアハブとなっていま す。時々、若いエンジニアが現れては、プレキシ ガラスのバイザーを顔に被り、マシンをいじくっ ています。その雰囲気はとてもよく、誰もが何 か大きなものの一部であるという感覚を持って います。会社の起源は、90年代のザンクトガレ ン工科大学(ISG)、応用科学大学、チューリッヒ 工科大学による野心的な大学プロジェクト「迅 速な製品開発研究所」です。 「研究開発とサービスが密接に関係して いることを実感できるのは、とてもユニークな ことです」と、Frauchiger氏は言います。

チーム は、AMプロセスの開発や部品製造のために今 も毎日使用されているIMPACT 4530の両方の 前モデルを誇らしげに示します。このように、新 型機4530は第3世代となり、現在では業界の高 い要求に応えています。

« IMPACT 4530は、革命 的なハードおよびソフ トウェアアーキテクチャ C.O.R.E.を搭載している ため、グループの他のす べてのブランドと互換性 があります »
Kai Gutknecht、ソフトウェア開発責任者

ザンクトガレンの精神

この大学のスタートアップ精神が、世界でも最 も革新的な工作機械の一つが、壮麗なバロック 様式教会から数キロメートル離れたここザンク トガレンで開発された理由の一つです。もう一 つの理由は、工作機械業界をリードする国際的 な企業グループに統合されたことです。 2019年 からUNITED GRINDING GroupがIRPDの単独 株主となりましたが、それ以前から長年の協力 関係がありました。「私たちはシナジーを発揮 することができます。そして、ノウハウや能力な ど、サポートが必要なときには、それを見つける ことができます」と、Michael Schneider氏は報 告します。例えば、IMPACT 4530はザンクトガ レンで開発されましたが、約200キロメートル離 れたトゥーンの姉妹会社STUDERで製造されて います。一方、その姉妹会社は、IRPDの積層造 形から恩恵を受けています。例えば、新しい それは、IRPDがBLOHM JUNGと共同 で開発、最適化したAMプロセスによる 冷却ノズルです。

SmartJet®冷却システムのノズルは、3Dプリント プロセスで製造されています。 また、顧客は、使いやすさ、ネットワーク化、 インテリジェントなデータ処理、自動化などの 面で相乗効果を得られます。「IMPACT 4530 は、ハードおよびソフトウェアアーキテクチャ C.O.R.E.を搭載しているため、グループの他の すべてのブランドと互換性があります」と、ソフ トウェア開発を担当するKai Gutknecht氏は説 明します。「このチームとUNITED GRINDING との良好な協力関係が、今日のIMPACT 4530 の存在理由です」と、彼は付け加えます。うなず く頭、微笑む顔、ご機嫌な顔。「最終的に利益を 得るのは顧客であり、それが私たちの最大の成 功なのです」と、Kössl氏は言い、ザンクトガレン の山岳風景が待つレルヒェン通りの「スタート 地点」から、チームワーク、ノウハウ、信念から正 しい意思によって並外れたことを実現させると いう、IMPACT 4530によって小さな奇跡が起き たその場所へと案内します。

文章: Michael Hopp 写真: Thomas Eugster

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